コロナ下のぶらぶら旅 西高蔵駅その4 消えゆく沢上商店街に異世界アンテナが反応 ちりちりパーマと焼き鳥の焦げたタレの匂いに、かつての賑わいぶりを妄想する

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2020年 12月16日

名古屋市地下鉄西高蔵駅から歩き始めているBST。
前回は高蔵古墳群のある高蔵公園を抜けて、
お寺とお寺に挟まれた路地裏に迷い込み、
時空間のゆがみを堪能しました。

今日はさらなる異世界=旅情を求めて、
その先を歩いてみようと思います。

現代の住空間に突如として接続される1500年前、
杉山不動明王古墳(仮)がある路地裏を抜けて、
さらに北側に歩いていきます。


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すぐに右手に、
沢上商店街という看板のついたポールが見えてきます。

こんなところに商店街が?
というかパッと見、商店街には見えません。
BSTとしてはこの認知の不協和に飛び込んでいかなくてはなりません。


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沢上商店街は東西に延びる小道に沿っているようですね。
周りに地下鉄を含めた鉄道駅がなく、
金山などの繁華街からも離れています。
つまり人の流れ的に完全に独立した場所にあります。

異世界アンテナがピーンと立っていくのを感じます。


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沢上商店街は、商店街とは名ばかりで、
お店そのものがほとんどなく、民家ばかりです。
通りの両側とも、ほとんど民家です。

その民家の隙間にいくつかお店らしきものがあるのですが、
そのわずかにある店も閉まっています。
定休日なのか、廃業してしまったのかも
よくわかりません。


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いったいいつ閉まったのかもわからない店が、
そのままで残っています。

日の丸サイダーとは、名古屋のローカル飲料で、
ご当地サイダーといったところでしょうか?
作っていた会社が倒産しているので、
今はもう手に入りません。

看板には昭和の記憶が色濃く刻印されています。


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商店街の途中から、一本路地裏に入ってみます。
この路地裏はさらに時間の感覚がおかしくなっています。
完全に昭和時代で時間が止まってしまっています。

パーマと言っても今の流行りのゆるふわパーマではなく、
いわゆるちりちりパーマ、おばさんパーマのことです。

この瞬間にもパーマ屋の扉が開いて、
ちりちりパーマに厚化粧、ベージュのひざ下ストッキングの
おばさんが出てきそうですね。

まあこのお店は、もうやってないでしょうけど。


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向こう側はマンションです。
この一角にだけ、昭和時代の棟割り長屋が
取り残されています。

この小路は沢上商店街の一本裏になりますが、
かつて沢上商店街が賑やかだったころには、
ここまで人が流れてきていたのかもしれません。

ひっそりとした路地裏には、今や人の気配はありません。


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沢上商店街で唯一やっていたのはこのお店です。
八百屋さんでしょうか。
商店街の一番東側、大通りに出る手前、
かつての商店街の入口にあります。

この間口の狭い八百屋さんが、
沢上商店街で唯一残った商店ということになります。

これはこれで、東南アジアの街角のような風情で
なかなかいいですね。
香港やバンコクの路地裏にある果物屋さんを
彷彿とさせます。


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※参考画像です

夜になると裸電球が灯り、壁にはゲッコーが張り付いています。
エビワンタンメンやクイティヤオをすすった後、
フルーツを買って宿に帰ります。


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沢上商店街の東端を、通りの裏側から(北側)から見てみました。
区画整理が進んでいるのか、商店街の裏側は、
通りに面した一列を残して取り壊されているようです。
西部劇の開拓地みたいですね。

やがてこの書き割り状態は、
商店街の西端にまで進んでいくのかもしれません。

商店街の通りに面した側は、おそらくかつては両側にびっしりと
商店が立ち並んでいたことでしょう。
肉屋、魚屋、八百屋、果物屋、惣菜屋、和菓子屋、雑貨屋、
おもちゃ屋、洋品屋などなど。

朝は市場から仕入れてきたものを運び込む人で賑わい、
夕方には近所の買い物客でにぎわいます。
働く人や買い物に来る客を目当てに、食堂や飲み屋、喫茶店、
パーマ屋が軒を連ねます。


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※参考画像です

肉屋の前では持ち帰り用の焼き鳥の、
焦げたタレの匂いが立ち込め、
揚げたてのコロッケが飛ぶように売れていきます。
魚屋の前では、敷き詰められた氷の上に乗っている
お刺身の皿を、買い物かごをさげた
ちりちりパーマのおばさんたちが物色しています。
かごに盛られた人参とジャガイモの前で、
威勢のいいダミ声を上げているのは八百屋さんです。
惣菜屋の前では、名物の土手煮の大なべが
ぐつぐつと煮えています。


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※参考画像です

お日様が西に沈むころ、
店先にあかりが灯り始めます。
売り物がなくなってしまって、
早々と片づけを始める店も出てきます。
惣菜屋では値引きとまとめ売りが始まり、
焼き鳥屋からは最後の煙が上がります。

夕飯時を前に慌ただしく買い物を済ます客が通り過ぎ、
連なる明かりと焼き鳥の煙が混ざり合い、
薄暗がりの中でそれらはだんだんぼやけていって、
やがて夜の闇へと溶けていきます。


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※参考画像です

そして今、商店街はなくなろうとしています。

いつのころからか、歩くのもやっとだったような
賑わいはなくなり、
威勢のいい売り子の声も聞こえなくなり、
肉屋の店先から焼き鳥のロースターがなくなり、
土手煮を煮込んでいた寸胴の火も消えました。

一軒、また一軒とお店は閉店し、
ある店はよそに移り、
またある店は売場を部屋に改装して民家となり、
またある店はシャッターを閉めたままになりました。

残された住人も高齢化が進み、
通りから子供の声が聞こえなくなり、
近年は空き家も目立つようになってきました。

そんな中、地域の再開発と再活性化の話が
持ち上がりました。
今ある古い建物をすべて取り壊し、
広くなった土地に何棟もの都市型マンションを
建てるという話です。


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※参考画像です

今や新都心として発展しつつある金山からも
比較的近いことから、
若い子供連れ家族が入居することが想定されています。
この辺りにも活気が戻ることが予想され、
マンションの一角には
大手スーパーマーケットチェーンが入ることになっています。

沢上商店街はやがて人々の記憶からも消えていきます。

消えゆく沢上商店街を歩きながら、
しばし妄想に浸ってみました。
BSTでは目に見える風景と、目には見えないけれども、
そこから喚起される妄想を織り交ぜながら歩いています。

現実を見ながら妄想し、妄想をしながらまた現実を
再認識していきます。

ここに入る前に、沢上商店街は周りに地下鉄を含めた鉄道駅がなく、
金山などの繁華街からも離れていて、
人の流れ的に完全に独立した場所にあると書きました。
本来ならばこのような場所に商店街は発達しません。

確かに大規模な集合住宅地のように、
住んでいる人の数が圧倒的に多い場所であれば、
交通の便とは関係なく、商店街が発展することもあると思います。
ですが、たいていの商店街は交通の便がよく、
人の流れがあるところ、
例えば鉄道の駅から住宅地までの間などに発展します。

そう考えるとこの沢上商店街も
本来はそのようなところにあったはずでした。
それを紐解くには過去に遡らないとなりません。

東西に延びる沢上商店街の東側には、
南北に大津通りという大通りが通っています。
この大津通りにはかつて名古屋市電が走っていました。
いわゆる路面電車ですね。
この南北に走る市電は、商店街の少し北にある
沢上交差点という大きな交差点で、
東西に走る市電の別の路線と交差していました。
また沢上にはこの名古屋市電の車庫、沢上車庫もありました。


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上記写真は現在の沢上交差点です。

かつてここ沢上は、二つの市電路線がクロスし、
車庫もあることから、
人の乗り換えが多かったのであろうと思われます。
沢上で降りて別の路線に乗り換える人、
沢上止まりや沢上始発の市電に乗る人など、
市電を利用する人で賑わっていたのでしょう。

交通の要衝であることから、どこに行くにも便利で、
乗降客のみならず、このあたりに住む人も今よりも
多かったと思われます。

市電を乗り継ぐ客が買い物に立ち寄り、
市電の駅からその先にある家に帰る客が、今晩のおかずを物色する。
そんな中で沢上商店街は発展していったのではないでしょうか。

そして名古屋市電が廃止された昭和49年を境に、
徐々に廃れていったのでしょう。

現在の沢上商店街には、そのような過去から現在までの
時間が刻印されています。
ここでもまた、時間は同時に存在しているのです。

BSTでは過去と現在、現実と異世界が同時に存在しているような
場所を探しながら、この先もぶらぶらを続けます。


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住宅街の真ん中に突如として出現する異世界を発見です。
これはいったい何でしょうか?

続きは次回です。


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